先日、カンテレの演奏家グループ「テレジアンカンテレ」による、東日本大震災のチャリティーコンサートの情報をお伝えしました。
このシリーズコンサートの第一回は、4月29日にスオミ・キリスト教会で開催されました。私も参加させていただきましたので、ご報告いたします。
会場となった礼拝堂は満席でした。多くの方々が、コンサートの趣旨に賛同されるとともに、カンテレの演奏を心待ちにしています。
演奏に先立ち、スオミ・キリスト教会から開催のご挨拶があり、カンテレクラブ「ピエニタウコ」の演奏で、コンサートは幕を開けました。
ピエニタウコは、スオミ・キリスト教会で開催されている5弦カンテレのクラブで、はざた雅子氏が指導されています。この日は、練習の成果を存分に発揮していただきました。
- カレワラの調べ(フィンランド民謡)
- ほたるこい(わらべうた)
次に、36弦カンテレの高橋翠氏と、15弦カンテレの横山夏子氏による演奏です。お二人のみずみずしく、息のあった演奏がとても素敵でした。
- ヴェッラモの鼓動(ミンナ・ラスキネン)
- カレリアの丘で(フィンランド民謡)
- ふるさと(岡野貞一)
上記の他に一曲
そして前半を締めくくるのは、はざた雅子氏の演奏です。完成度の高さでは、はざた氏の右に出る演奏家はいらっしゃらないでしょう。
はざた氏作曲の「オーロラ」は、極北の空に幻想的な光がゆらめく様子を表現した曲で、目を閉じるとその光景が浮かんでくるようです。
また、フィンランドの著名な作曲家メリカントと、誰もがご存じのパッヘルベルのカノンを対比させる構成は、とても面白かったです。どちらも素晴らしい曲ですが、あのカノンがカンテレだとこうなるんだというのは、興味深い体験でした。
- プレリュード(はざた雅子)
- コネヴィスト教会の鐘(フィンランド民謡)
- オーロラ(はざた雅子)
- 優しく響けわが悲しみの歌(オスカリ・メリカント)
- カノン ニ短調(ヨハン・パッヘルベル)
上記の他に一曲
ここで休憩に入ります。
ロビーでは、カンテレのCDやフィンランドのパンの販売があり、大変な賑わいです。
パンは、スオミ・キリスト教会の料理クラブ「プー・ママ」の手作りです。
後半は福原優子氏のグランドハープの演奏で幕を開けました。
5弦カンテレから始まり、楽器も音量もだんだん大きくなってきました。
私はグランドハープの生演奏は初めてでしたので、その迫力と美しい音色に、ただ圧倒されました。でも、大きいだけに、演奏するのはなかなか骨が折れそうでした。
ハープで聴く「トロイメライ」も趣があります。
- 月の光(クロード・ドビュッシー)
- トロイメライ(ロベルト・シューマン)
- 夜の歌(カルロス・サルツェード)
ここで、はざた雅子氏、高橋翠氏、横山夏子氏のトリオになります。
「熊のダンス」では、カンテレの様々な奏法を披露して、観客を魅了しました。
また、「春」は横山氏の手になる曲で、師匠と弟子という関係の三人が演奏されるお姿は、感慨深いものでした。
- 嘆きの少女(フィンランド民謡)
- タンゴXYZ(トイヴォ・カルキ)
- 熊のダンス(フィンランド民謡)
- 5弦カンテレのためのワルツ(トイヴォ・カルキ)
- 春(横山夏子)
そして、グランドハープが加わり、いよいよ四重奏になります。
私は詳しくはないのですが、この構成のコンサートは、非常に珍しいのではないでしょうか? 本当に圧巻です。
カンテレは琴に似た楽器だと思うのですが、「さくらさくら」の重奏は、琴の重奏とはかなり異なった印象を受けました。とてもやわらかく繊細で、しかし力強さも感じられます。不思議な楽器です。
また、はざた氏から、スウェーデンとロシアの間で苦難の歴史を持つフィンランドが、独立の情熱をこの曲に込めたエピソードが紹介されました。
- 赤いリボンの少女(スウェーデン民謡)
- さくらさくら
- フィンランディア(ジャン・シベリウス)
そして、最後にピエニタウコも加わり、演奏者全員での演奏となりました。
今回の震災からの復興を祈りながら、演奏家と聴衆が一体となりました。
- 歓喜の歌(ベートーベン)
さて、スオミ・キリスト教会でのコンサートは幕を閉じたわけですが、このシリーズコンサートは、5月以降も毎月開催される予定です。皆さまも、是非ご参加下さい。
詳しくは、イベント情報をご覧ください。
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