フィンランド政府児童文化賞受賞 全国学校図書館協議会選定図書
この絵本『地平線のかなたまで』は、前回ご紹介いたしました『なかなおり』(猫の言葉社)の作者ヘルヤ・リウッコ=スンドストルムの作品です。ヘルヤ・リウッコ=スンドストルムの文と陶板、それに、稲垣美晴先生の翻訳の素晴らしさはそのままに、うさぎが主人公なのも『なかなおり』と同じです。もっとも、『地平線のかなたまで』の主人公は、「子うさぎ君」なのですが。
子うさぎ君のおかあさんは教育熱心なおかあさんだったので、春になると子うさぎ君ときょうだいたちを有名なピョンピョン学院に入学させました。しかし、実際ピョンピョン学院に入学してみると子うさぎ君はの足は…。お医者さんのププラ博士のもとへ行くものの、よいお話は聞けないのでした。
いっときは悲しみに沈む子うさぎ君でしたが、彼はひとり生きていくことを決心します。そして、子うさぎ君は自分の力で、他のうさぎたちにはできない生き方を身に着けるのでした。子うさぎ君は、ほかの動物やうさぎたちを助けてゆきます。
ここ数年でしょうか、「心が折れそう」という言葉を耳にすることが多くありませんか? 私は、この言葉があまりすきではありません。私も子うさぎ君のようにハンデを持っているので、もし「心が折れそう」なんて思っていたら、私の心はとうにぽきんと折れていたことでしょう。
子うさぎ君も、はじめは小さな胸がしめつけられそうになります。でも、すぐに自分なりの生き方を見つけて、前に進んでゆきます。それは、子うさぎ君にとってはたいへんなことだったでしょう。今年も、とても悲しいことがたくさんありました。でも、次に何ができるかを考えること、実行してみることが大切ではないでしょうか。
この絵本の最後は、希望があふれています。
いま「心が折れそう」になっているあなたも、子うさぎ君のお話を読んでみませんか? きっと明日から、いいえ、絵本を読み終わったらすぐに、何かがかわるかもしれませんよ。
(本会会員 北川美由季)
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